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【ナダールのある街/Vol.2】神宮前三丁目児童遊園地
カテゴリー:ナダールのある街 2018-01-28更新
ナダールは表参道・南青山にあります。ご近所にはおしゃれなカフェやお店がたくさんありますので、ギャラリーにお越しの際には、青山の街をぶらりと歩くのもおすすめです。
そこで、オーナー・林と店長・サナエが、青山周辺のおすすめスポットを交互にご紹介していきたいと思います。題して「ナダールのある街」。Vol.2は、オーナー・林が「神宮前三丁目児童遊園地」をご紹介します。
ナダールのあるところから、つやのない緑の歩道橋を渡って青山通りをまたぐ。もう半分以上なくなってしまった北青山の団地を抜けて行くと、その公園がある。小さいけれど、ちゃんと花壇があって、随分と雨にさらされてくたびれているけど木製のベンチが二つあって、自動販売機まである。まわりに高い建物はないので、陽もよくあたる。個人的には、なかなかいい公園だと思う。
公園に来てしばらく居ると、いろんな人が来るのがわかる。お弁当を食べる若い女性、煙草と缶コーヒーでくつろぐ中年男性、ひたすらスマホを見る若い男性。そんな人達をぼんやりと眺めながら、気付いた事がある。公園は、どんな人でも受け入れる。老若男女、誰でも入れる。どんな職業の人も、幸せな人も、悲しい人も。
僕たちがやってるギャラリーっていう場所もある意味公園みたいじゃない?早苗久美子に聞いてみた。早苗久美子は、普段はナダールのマネージャーだが、写真家・林のアシスタント君でもある。今日は一緒に散歩に連れ出したのだ。その彼女はこう答えた。
「閉じていない感じ」を大事にしたいです。
「ナダールも、公園のような場所でありたいですね。公園が常にオープンなのと同じで、ナダールも「閉じていない感じ」を大事にしたいです。写真ギャラリーなので、当然、開催中の展示を見てもらいたい気持ちは強いですが、実はそれだけじゃなくて。誤解を恐れずに言えば、特に目的を持たずに立ち寄ることのできる場所でありたいと思っています。
職場と自宅以外に、もう一つ居心地の良い場所をもっておくと良い、という意味で「サード・プレイス」っていうじゃないですか。ナダールが誰かにとってのそういう場所になれていたらいいな、と思います。
展示を見る。出展作家さんと話す。販売しているカメラや小物類を見る。スタッフとおしゃべりする。他のギャラリーさんのDMを見ながら情報を仕入れる。ギャラリー内のベンチに座って休憩する…。ギャラリーに来る理由なんて、何でもいいと思うんです。あ、これ、ギャラリー店長の立場としては問題発言でしょうか?(笑)
私自身、ギャラリーという場所に救われたことがあるんですよ。まだ会社員をしていた頃、ちょうど2011年の東日本大震災の後のことです。あまりにも大きな災害を前にして、自分に出来ることは少なかったです。せめて、いつも通り仕事をして、節電に務め、なるべく冷静に暮らそう。そんなことを意識しながら毎日を過ごしていました。色々なことが自粛ムードだったこともあり、目的のない行動とか、理由のない外出とかは、ほとんどありませんでした。
でも、だんだんと疲れてきて。そんな時に、ふとギャラリーに立ち寄ってみたんです。そこには、写真が展示されていて、作家さんやスタッフさんがいて。展示を見て、スタッフさんと言葉を交わして、ほんの少しの時間そうやって過ごしただけでしたが、自然と気持ちが晴れて元気が出たんです。それで、その時思ったんですよ。人は「必要なこと」だけでは生きていけないのかもしれないな、って。
写真も、ギャラリーも、生活必需品ではないですよね。でも、だからこそ、ギャラリーに立ち寄るのに理由が必要なかったんです。そういう場所だからこそ、ふっと力を抜いて息がつけるっていうこともあるのかもしれないなって。それが、ナダールの店長となった今も、私の中にあるギャラリー観みたいなものの核になっているような気もします。」
うん、うん、早苗君。公園で聞く早苗君の想いが嬉しい。「閉じていない感じ」ってのがいいね。僕もいつも何に対しても「開いている」事に気をつけてきた。自分が開いた分しか、相手は開いてくれない。同じ想いである事を再認識させてもらって満足な公園散歩となった。
公園の目の前には、
ちなみに、この公園の目の前には、イラストのギャラリー・OPA galleryさんがあるし、近辺には、前回紹介した「パンとエスプレッソと」さんや、「文具カフェ」さん、「幸せのパンケーキ表参道」さん、さらにはあの「とんかつまい泉」さんの本店等、本当に魅力的なお店が多いのだ。なので、うろうろして歩き疲れたらこの公園で一休みも悪くないと思う。ぜひ。
神宮前三丁目児童遊園地
場所:渋谷区神宮前3-2-11
面積:127.24㎡
開園:1987(昭和62)年
(写真・文=林和美)※一部写真=早苗久美子