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School女性による女性のための写真教室

八木 香保里さん

教室へ通ったことで視野が広がり、写真の世界が広がり、自ずと表現の幅も広がってきました。

写真作家として活動されている八木香保里さん。ナダールがサポートしている女性写真作家グループ tones のメンバーでもあり、毎年個展を開催されている他、写真のコンペティションなどにも積極的に挑戦されています。

●写真を撮り始めたのはいつ頃ですか?きっかけは何ですか?

読み物のホームページを作っていた頃、「挿絵の代わりに自分の写真を載せたい」と思うことがありました。当時はスキャナもデジタルカメラも持っていなかったので、動画を静止画に加工して使用していました。学生時代はポラロイドやコンパクトカメラで撮ることもありましたが、「撮る」という行為自体に本格的に興味をもったのは動画が先でした。ホームページを始めた頃ですから1999年あたりです。その後、祖父や父からフィルムカメラとレンズを譲り受けたことがきっかけで写真を始め、今に至ります。

●写真教室に通おう思った理由は何ですか?

独学で撮り続けていましたが、「基礎を一通り学びたい」と短期間で簡潔に勉強できる講座を探しました。「こうしたら、こうなる」をより深く学べば自分の撮りたい写真にもっと近づけると思い、受講を決めました。

●ナダールの「女性による女性のための写真教室」を選んだ理由は何ですか?

フィルムカメラとデジタルカメラ、その両方を使っているので、受講の際に使用するカメラやレンズに限定の無い教室を探していました。「一度勉強したら、後は自分の力で」という気持ちが強かったので、「週に一回、三ヶ月」で完結するのも魅力でした。「いつか専門のギャラリーで展示してみたい」と考えていたこともあり、受講後に修了展があるのも選ぶ決め手になりました。

●写真教室を受講してみてどうでしたか?

ナダールの講座を受講する前から写真は好きで撮っていましたし、個人で写真展も手掛けていました。そういう点から見ると、私を「初心者」とは呼べないかもしれません。それでも実際に授業で話を聞いたり実習してみると、自分には「知ってるつもり」になっていることが多いことに気がつきました。個人差はあるにしろ、私の場合、独学では限界があったのだと思います。

「座学だと飽きてしまうかな?」と心配でしたが、一クラスの人数が少ないので質問もしやすくアットホームな雰囲気で勉強できました。また、合評会(※)があるのがとても良かったです。自分でない誰かに写真を観てもらい感想を頂くことで、自力では気づけなかった自分の写真の特長や反省点が分かったことは、その後の写真との向き合い方に大きな影響を与えました。
※ 写真を持ち寄ってお互いの写真を見せ合いながら、写真について話し合う会。カリキュラムの5回目と10回目に実施。

●今、どのように写真を楽しんでいますか?

教室へ通ったことで視野が広がり、写真の世界が広がり、自ずと表現の幅も広がっていきました。表現の幅が広がることで、難しくなることもありました。制作する際に「これがいい」と絞る作業に悩むことが増えたのです。選択肢が増えるのは「贅沢な悩み」とも言えるわけで、「削ぐ」を鍛える良い機会になっています。悩むことが楽しい、写真を通してそんな妙な感覚も味わっています。

写真を撮り続けていくうちに、「私のことを何も知らない人が私の写真を見たら、どんな風に捉えるんだろう?」という疑問を抱くことがありました。その想いが次第に強くなり、コンペティションやポートフォリオレビューといった当落のある環境へ写真を応募するようになりました。コンペなどの場で作品を見てもらう時は、友人知人に見てもらうことの多い個展やグループ展とは異なる緊張感があります。プレゼンでは自分の写真を自分の言葉で伝えなければならず、勉強不足で「こんなはずでは!」と悔しい想いをすることも。それでも審査員やお客様から嬉しい言葉と厳しい言葉の両方を頂くことで、自分の作品を客観視することに集中し、作品としての精度を高めることができています。


「自分の写真をわざわざそんな辛い状況に置かなくても」と言われることも多いですが、私にとっては「可愛い子には旅をさせよ」であり「獅子の子落とし」です。自分が心底納得できる作品に仕上げたい。私の場合、その制作過程の一つに「試練」があるんだな、と。大袈裟(!)ですがそう考えています。もちろん個展で好き勝手やったり友人知人と楽しみを分かち合うことも、一つの作品として成立するまでの大切な過程。こちらも好き、楽しいですね。私のなかでは「温かさ」も「厳しさ」もどちらも同じステージにあり、どちらも必要で、どちらも楽しんでいます。

●今後の目標、やってみたいことは?

写真を「見せる」方法については知らないことも多く、作品のメッセージを最適に伝えるためにどうしたら良いか考えることが増えました。これまで、誰かに見てもらう機会を「展示」にこだわって続けてきました。展示会場でプリントを見てもらうこと、お客様との交流を通して作品に対する意見を直接聴くことはとても嬉しい。ですが、見てもらう方法は「展示」に限ったものではありません。写真集やZINE、スライドショウ、WEBやSNSの活用などバラエティに富んでいます。そういった視点も踏まえ、制作を続けながら、「写真を撮った後の楽しみにも豊かさがある」ことを伝えられるような取り組みも手がけてみたいです。夢は、海外で作品を見てもらうこと!いつか実現させたいです。

●写真を始めてみたい、もっと写真を楽しみたい、という女性にメッセージをお願いします。

色々とお話しした上で乱暴な表現になってしまいますが、「自分の好きなように撮るのが良い」が正直な気持ちです。好きなように撮るなかで迷いや悩みが浮かんだ時に、それらをどのように処理していくかで個性が出るんじゃないかな、とも思います。自分の思い描く理想の「見えるかたち」に近づけるために必要なことって何だろう?…そう考えたことが私にとっては転機でした。自分の好きなように写真を楽しむための「写真教室」だったんだな、と振り返っています。

 カメラがあれば、一人でも誰かとでも、どちらでも写真は楽しめます。踏み出すと、「楽しい」か「楽しくない」か、どちらかの答えがはっきり出ます。踏み出さなければ、楽しいのかどうかさえ分からないままです。それでは勿体ない。「やってみたいな」と思ったら、 まずは気楽に無理なくシャッターを切ってみてくださいね。

プロフィール

八木 香保里

1974年 京都府京都市生まれ。
「自作の文章に添えるイメージに、自分の思い描いたものを使いたい」と考えたのがきっかけで、写真を撮るようになりました。フィルムでもデジタルでも撮ります。気になるものは何でも撮るように心がけています。2014年の「めざせ個展」にて得票数一位を頂き、ナダール東京で写真展を開催しました。女性写真作家グループ tones メンバー。

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