【スタッフコラム】秋の夜長に楽しみたい写真集３冊

カテゴリー：スタッフコラム＜店長・早苗久美子＞ 2018-10-13更新

こんにちは。店長サナエです。

最近、ナダールのブログが「お知らせ」とか「レポート」ばかりだったので、全然違うことをやってみたくなりまして、スタッフコラムを始めることにしました。ナダールのスタッフ（サポートスタッフを含めて5名！）が順番に書いていきます。

スタッフコラムには、特に決まったテーマはありません。毎回それぞれのスタッフが自由にテーマを決めて書きます。今までよりブログの更新頻度もあがると思いますので、時々覗きにきて、ゆるりと楽しんでいただけたら嬉しいです。

ということで、まずは言い出しっぺの私、サナエから。何を書こうかと色々考えたのですが、まずは自己紹介も兼ねて、私の好きなことやお気に入りのものなどを紹介していきたいと思います。

今回は「秋の夜長に楽しむ写真集」と題して、私のお気に入りの写真集から、秋の夜長に楽しみたい３冊をご紹介します。

カール・ブロスフェルト

まず最初にご紹介するのは、ドイツの植物学者で写真家のカール・ブロスフェルト（Karl Blossfeldt 1865-1932）の写真集です。

この写真集には、植物のディテールまで緻密に撮影された作品が図鑑のように並んでいます。幾何学的だったり、装飾的だったり、自然の作り出したものとは思えないような形や質感が、とても興味深いです。よく門扉や柵に使われている鉄格子の装飾のように見えるものもあって、びっくり。色の情報がないモノクロだからこそ、フォルムが際立って、デザイン的な魅力になっているのでしょうね。

古い時代の写真ですが、今でも新鮮。むしろ、現代的な感じすらします。植物が好きな人はもちろん、デザインやテキスタイル、インテリアなどに興味ある人にもおすすめです。インスピレーションの源になってくれるかも！？

アーノルド・ニューマン『Artists portraits from four decades』

２冊目は、ポートレートと言えば「絶対これ！」という一冊。アメリカでたくさんの著名人を撮影した巨匠、アーノルド・ニューマン（Arnold Newman 1918-2006）の『Artists portraits from four decades』です。これがもう、鳥肌モノのかっこよさなのです！

この写真集は、1941-1980年に撮影された著名アーティストたちのポートレートのみを集めたもので、どの写真も、その人のアトリエや関連する場所で撮影されていたり、そのアーティストの作品のオマージュが盛り込まれていたりしています。だから、例えそのアーティストのことを知らなくても、写真を見れば、何をしている人なのか予想できるものも多いですし、その人となりまで想像できそうな気がします。

例えばこの左ページの写真は、美術の教科書でもおなじみの画家、サルバドール・ダリのポートレートです。写真を破いてコラージュして再び1枚にしたような、この一筋縄ではいかない感じ！思わず「ほほぅ」と唸ってしまいます。

アーノルド・ニューマンのポートレートは、どの作品もしっかりトリミングされています。縦横の比率もいろいろ。けれど、そのトリミングにこそ必然があるのです。完璧な構図で作り上げられた1枚。その写真のもつ力の強さに圧倒されます。初めて見た瞬間に好きになって、この写真集も古書店で探して購入しました。ふっと時間ができた時に、何度でも開きたくなる。そんな大好きな写真集です。

アンドレ・ケルテス『ON READING』

最後にご紹介するのは、読書の秋にぴったりの一冊。ハンガリー出身の写真家、アンドレ・ケルテス（Andre Kertesz　1894-1985）の有名な写真集『ON READING』です。

この写真集は、世界中の読む人のいる風景を集めたもので、中には日本の光景も含まれています。街角で、ベランダで、窓の向こうで、電車の中で…。さまざまなところで、読むことに没頭する人々。その写真はどこかユーモラスで、読む人々を見つめるケルテスさんの眼差しに人間らしい愛着を感じます。

最近は、読むスタイルもだいぶ変わりました。もし今の時代をケルテスさんが見たら、スマホやタブレットを手にしている人たちの景色を、どんな風に捉えるのでしょうね。

私の持っているのは英語版ですが、『読む時間』と題されて日本版も出版されています。電車で隣の人が読んでるものが気になっちゃう時みたいな、ちょっと覗き見しているような気分でクスッとしながら眺められる写真集です。写真集としては小さめの手頃なサイズなので、本好きな人へのプレゼントにもおすすめです。

偶然ですが、今回ご紹介した３冊はどれも、19世紀から20世紀に活躍した写真家です。有名なものばかりですが、なんとなく、秋冬にはトラディショナルなものを見たくなるのかもしれません。どれも本当に好きな写真集なので、機会がありましたらぜひ見てみてくださいね。

皆さんも、秋におすすめの写真集があれば、今度ぜひ教えてください。